有賀研究室の研究活動 

柔道選手の専門的トレーニングとチェック法

柔道選手の競技動作や体力特性を考慮した専門的トレーニングを多数考案し、競技との関連の調査研究を手掛けてきました。中でも「柔道着けんすい」は、組手の把持力強化を目的としたトレーニング法として、海外にも普及し、多くの選手に実践されています。

アスリートのパワーの要となるSSC能力の探求

競技選手のダッシュやジャンプ、方向転換能力との関連性が認められているSSC(Stretch-Shortening Cycle)能力の指標となる「リバウンドジャンプ指数」の競技別の特性について調査しています。

特許権の取得

懸垂が1回もできない人ができるようになるための補助具を考案し、特許権を取得しました。

トレーニング器具の開発

トレーニングの現場から得られたニーズやアイデアから新たなトレーニング機器を提案しています。企業との共同開発により製品化されたケースもあります。

研究活動の概要

現場から発想して現場に貢献

有賀研究室は、トレーニング現場の課題、ニーズ、アイデアから得られた着想に基づいた研究を重視しています。また、得られた研究成果を、スポーツ選手の競技力向上、一般の方の健康増進、新たなトレーニング法やトレーニング機器の開発に少しでも貢献できるようにすること目指しています。

柔道選手の競技力向上に向けた研究

有賀研究室では、一流柔道選手のトレーニング現場との接点を生かし、柔道の動作や体力の特性を考慮したトレーニング法やトレーニング効果のチェック法に関する研究に取り組みんできました。その成果は、日本代表レベルの選手のトレーニングや体力測定に採用されています。特に、有賀研究室にてデータ収集を行った「柔道着けんすい」は、鉄棒に掛けた柔道着にぶら下がって行うけんすい運動であり、柔道選手の把持力(つかんで離さない能力)を養成するための専門的トレーニングとして、日本のみならず世界の柔道選手の間で普及し、実践されています。

スポーツ選手のSSC能力に関する研究

ダッシュやジャンプなど、スポーツ選手の爆発的なパワー発揮能力には、筋腱複合体による伸張-短縮サイクル(Stretch-Shortening Cycle: SSC)が関与していることが知られています。有賀研究室では、東海大学における競技横断的なトレーニングのサポート活動の実践現場のメリットを生かし、SSC能力を反映する指標として用いられている「リバウンドジャンプ指数」の競技別の特性について調査しています。
また、SSC能力と球技選手の方向転換能力との関連性についても研究を推進し、日本学術振興会科学研究費を獲得しています。

トレーニング機器の開発と特許権の取得

トレーニング現場の課題やニーズから得られたアイデアに基づき、新たなトレーニング機器の開発にも積極的に取り組んでいます。
懸垂が1回もできない人でもできるようになるための補助具については特許権を獲得することができました。
また、柔道選手の上半身の回旋動作のトレーニング機器については、スポーツ用品企業との共同開発により商品化されています。


主な学術論文

男子バレーボール選手の跳躍能力の特性 ~新たな跳躍能力タイプ別分析の試み~

有賀誠司、小澤翔、藤井壮浩、積山和明、生方謙

東海大学スポーツ医科学雑誌32:7~15、2020年


男子サッカー選手のリバウンドジャンプ能力の特性

有賀誠司、後藤太郎、米津貴久、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌31:1~9、2019年


リバウンドジャンプ能力の競技別特性

有賀誠司、加藤健志、小山孟志、積山和明、藤井壮浩、後藤太郎、両角速、西出仁明、小澤翔、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌30:7~16、2018年


バレーボール選手における直線移動能力と方向転換能力に関する縦断的研究

有賀誠司、積山和明、藤井壮浩、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌29:31~42、2017年


柔道選手の体幹回旋動作パワー向上のためのトレーニング法とチェック法

有賀誠司、上水研一朗、藤井壮浩、小山孟志、緒方博紀、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 27:7~20、2015年


方向転換動作のパフォーマンス改善のためのトレーニング法と効果のチェック法に関する研究 ~大学アメリカンフットボール選手におけるリバウンドジャンプ能力と方向転換能力の関係~

有賀誠司、中須賀陽介、藤井壮浩、小山孟志、緒方博紀、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 26:17~30、2014年


方向転換動作のパフォーマンス改善のためのトレーニング方法に関する研究 ~男子バレーボール選手におけるリバウンドジャンプ能力と方向転換能力との関連について~
有賀誠司、積山和明、藤井壮浩、小山孟志、緒方博紀、生方謙

東海大学スポーツ医科学雑誌 25:7~19、2013年


方向転換動作のパフォーマンス改善のためのトレーニング方法に関する研究 ~女子バレーボール選手におけるリバウンドジャンプ能力に着目して~

有賀誠司、積山和明、藤井壮浩、緒方博紀、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 24:7~18、2012年


側方への移動や方向転換の動作改善のためのトレーニング方法に関する研究
 ~バレーボール選手を対象としたサイドランジの実施条件と男女の違いについて~

有賀誠司、積山和明、 藤井壮浩、白瀬英春、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 23:7~14、2011年


側方への移動や方向転換の動作改善のためのトレーニング方法に関する研究 女子柔道選手と女子バレーボール選手におけるサイドランジについて

有賀誠司、白瀬英春、 藤井壮浩、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 22:7~17、2010年


女子柔道選手の競技力向上のためのトレーニング方法に関する研究 ~ダンベルスナッチについて~

有賀誠司、白瀬英春、山田佳奈、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 21:31~41、2009年


女子柔道選手における柔道着懸垂について

有賀誠司、白瀬英春、山田佳奈、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 20:27~36、2008年


女子柔道選手における片脚4方向ジャンプについて

有賀誠司、白瀬英春、山田佳奈、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 19:7~15、2007年


柔道選手の組み手改善のためのトレーニングに関する研究 ~柔道着懸垂について~

有賀誠司、中西英敏、山下泰裕、恩田哲也、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 18:44~53、2006年


柔道選手の下肢運動能力改善のためのトレーニングに関する研究~片脚4方向ジャンプについて~

有賀誠司、中西英敏、山下泰裕、恩田哲也、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 17:7~15、2005年


柔道選手における片脚スクワットについて

有賀誠司、芝本幸司、中西英敏、山下泰裕、白瀬英春、恩田哲也、麻生敬、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 16:34~44、2004年


大学柔道選手におけるバーベル挙上能力の測定と評価表作成の試み

有賀誠司、恩田哲也、麻生敬、山下泰裕、中西英敏、白瀬英春、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 15:7-17、2003年


柔道選手の体力測定法に関する研究~全日本男子強化選手に実施した新測定項目について~

有賀誠司、小山勝弘、射手矢岬、中村波雄、小田千尋、田村尚之
柔道科学研究 7:12~23、2002年


柔道選手におけるダンベルを用いたクイックリフト・エクササイズについて

有賀誠司、寺尾保、恩田哲也、中村豊、山下泰裕、中西英敏、生方謙
東海大学スポーツ医科学雑誌 14:23-33、2002年


トライアスロン選手におけるレジスタンストレーニングの効果

有賀誠司、寺尾保、恩田哲也、中村豊、宇佐美彰朗、生方謙、平井統基
東海大学スポーツ医科学雑誌 13:24-33、2001年


柔道選手の下肢運動能力を把握するための専門的テストの検討

有賀誠司、宮崎誠司、岡泉茂、恩田哲也
柔道科学研究 6: 13-18, 2000年


大学女子バレーボール選手におけるウエイトトレーニングの長期的実施に伴う形態及び体力の変化

有賀誠司、成田明彦、積山和明、湯浅康弘、生方謙、恩田哲也、中村豊、寺尾保
東海大学スポーツ医科学雑誌 12: 42-53, 2000年


大学アメリカンフットボールチームにおける計画的ウエイトトレーニングプログラム導入の効果

有賀誠司、中澤一成、麻生敬、阿部総一郎、恩田哲也、中村豊、寺尾保
東海大学スポーツ医科学雑誌 11: 30-43, 1999年


柔道競技におけるトレーニング方法に関する研究 一流男子柔道選手の階級増を目的としたトレーニングの実践例とその効果

有賀誠司、寺尾保、中村豊、恩田哲也、山下泰裕、中西英敏、佐藤宣践、白瀬英春、橋本敏明、古谷嘉邦
東海大学スポーツ医科学雑誌 10: 60-70, 1998年


全日本男子柔道強化選手の脚筋力の発揮特性

有賀誠司、金山浩康、斎藤仁、松井勲、山下泰裕、松村成司、木村昌彦

柔道科学研究 2: 15-20, 1994年

総説・その他

トレーニングの評価におけるリバウンドジャンプ能力

有賀誠司
 体育の科学67(4) 、杏林書院、2017年


筋力トレーニングのスポーツ選手への適用

有賀誠司
バイオメカニクス研究 6(3)、227-239、2002年


柔道ナショナルチームにおける体力強化サポート

有賀誠司
トレーニング科学 15(1)、25-30、2003年


ストレングス&コンディショニング専門職のための実務研修カリキュラム

有賀誠司
ストレングス&コンディショニング 11(3)、44-47、2004年


大学スポーツ選手に対するスポーツ医・科学サポート

有賀誠司
体育の科学 54(4)、281~286、杏林書院、2004年


大学におけるスポーツ科学センター「東海大学スポーツ医科学研究所」総合的なスポーツ医科学サポートシステム

有賀誠司
臨床スポーツ医学 22(4),425~429 文光堂 2005年

外部研究資金の獲得

日本学術振興会科学研究費 基盤研究C 平成26年度~平成28年度
スポーツ選手の方向転換能力の競技別特性とトレーニング効果